歯が抜けたときの治療法は?

2024年03月29日

 

重度の虫歯や歯周病で歯を失ったしまったときに、その歯を補う治療を行うことができれば、今までと変わらず食事をしたり、発音ができたり、噛み合わせを保つことができます。治療の方法によって、治療期間(通院回数)、費用、メンテナンス方法、装置の寿命が違います。それそれの特徴をよく理解して、自分のお口の状態、希望やライフスタイル、予算に合った治療法を選ぶことが必要になります。自分の希望を伝え、歯科医と一緒に治療法を決めていきます。

 歯を失ってしまった時の治療法として入れ歯ブリッジインプラントの3つの治療法があります。

 入れ歯(部分入れ歯)

なくなった歯を部分的に補う治療法です。プラスチック製の歯茎に似た土台に人口の歯を乗せたものを、金属のフックで隣の歯にひっかけて固定します。それぞれのお口に合うように型取りをして作成・調整をしていきますと、咀嚼・発音をすることができます。メリットとしては、自分の健康な歯を削らなくてよいこと、最小限の装置で済むこと、保険の適応であれば一般的に費用が安く済むことが挙げられます。デメリットとして、取り外しをする装置のため汚れやすいこと、外して清掃する手間や洗浄剤が必要なことがあります。金属のフックがかかっている歯が虫歯になりやすいことや金属のフックが見えてしまって審美的によくないことも挙げられます。そして、インプラントやブリッジに比べて噛める力が弱いこともデメリットになります。また、歯茎に痛みが出たりするので調整していき、使いやすい入れ歯にしていったり舌感や使用感の違和感に慣れる必要があります。保険適応外の入れ歯で、支えの金属を歯茎の色と同調させたシリコンのような素材でつくり見た目をよくしたものもあります。

 ブリッジ

ブリッジとは失った歯の両側の歯を土台に人工の歯を橋渡しをしてつなぐ方法です。メリットとして取り外しが不要でメンテナンスや使用感が入れ歯に比べ簡単なことや保険適応が可能な症例が多く、インプラントより安価で治療できることが挙げられます。また、入れ歯よりも噛む力を保つことができることもメリットになります。デメリットとして、両隣の歯を削らなくてはならないことやその両隣の歯の負担が大きく歯の寿命が短くなってしまうこと、再治療が必要になる可能性があることが挙げられます。ブリッジの土台の歯に虫歯ができることもあります。そうすると、もう片方に虫歯がなくても全部を作り替えなければならないことや、歯のつなぎ目に汚れが溜まりやすいので清掃に工夫が必要です。

 インプラント

失った歯の場所の顎の骨に歯の根っこの役割のネジを植え込んで固定します。その人口の歯根を土台として、その上に人工の歯を取り付ける方法です。インプラントは保険の適応外になります。メリットとしては取り外しが不要で、自分の歯のような見た目と安定性があり、普段のお手入れも大きく変わりはありません。噛む力も比較的しっかり確保することができます。隣の健康な歯を削ることもしなくてもよいです。デメリットとしては保険適応外であるため費用が高いこと、ネジが定着するのに時間がかかるので治療期間が長いことがあります。人工歯根を埋め込んだ後の固定までの時間(2か月~6か月)や歯茎の形がきれいになおるまでの時間(1週間~3週間)など体の組織が反応して安定するまでの時間が必要だからです。手術そのものの時間は本数にもよりますが1時間程度でそれほど長くはありません。また、顎の骨の状態により施術できないこともあります。骨の質がもろく弱い人や骨の量が少ない場所は人工の歯根の固定が不十分になることが多く、一般的に不向きとされています。比較的年齢の若いうちの骨がしっかりしたときに行う方が成功率が高まります。事前に検査をして施術可能かどうか診断する必要があります。取り付けた人工歯が食事などで緩むこともあるので、人工の歯根に問題がないか、噛み合わせは適切かどうかを定期的に検診すること、インプラントの周りだけではなくお口の中全体を清潔にすることにより、インプラントを長期的に維持できる可能性がぐんと高まります。ですので半年や年に1度の検診を勧めています。近年研究が進み、再生医療により骨の量を増やしながインプラント治療を行うケースも増えてきており、できる範囲が広まってきています。糖尿病や心疾患など内科的な疾患がある場合は、症状がコントロールされていれば可能なこともあるので、主治医の意見も参考にして、総合的に判断する必要があります。

文/歯科医師 樋口 有里子